文化庁、「AIと著作権に関する 考え方について(素案)」を公表

日付:2024-02-05

出所:HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK

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分野:商標


国/地域:日本

公開日付:2024-02-05

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2023年12月20日に開かれた文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第5回)において、文化庁は「AIと著作権に関する考え方について(素案)」を公表した。

 当レターでは、著作権法第30条の4の解釈とその適用範囲について、文化庁の現時点での考え方を一部紹介する。

著作権法第30条の4

(著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用)

第三十条の四 

著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

一 著作物の録音、録画その他の利用に係る技術の開発又は実用化のための試験の用に供する場合

二 情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の解析を行うことをいう。第四十七条の五第一項第二号において同じ。)の用に供する場合

三 前二号に掲げる場合のほか、著作物の表現についての人の知覚による認識を伴うことなく当該著作物を電子計算機による情報処理の過程における利用その他の利用(プログラムの著作物にあつては、当該著作物の電子計算機における実行を除く。)に供する場合

条文上、「思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合」(以下、非享受目的という)は、著作権者の許諾なく利用することできると規定されている(著作権法第30条の4 柱書)。そして、同条第2項において、「情報解析(…)の用に供する場合」を挙げている。そのため、現在の著作権法では、生成AIがコンテンツを学習するために行われるものも含め、情報解析の用に供する場合は、すべて非享受目的に該当し、著作権者の許諾なく利用することができると理解されてきた。

しかしながら、一個の利用行為には複数の目的が併存する場合もあり得るところ、ある利用行為が、「情報解析(…)の用に供する場合」等の非享受目的で行われる場合であっても、この非享受目的と併存して、ひとつでも享受の目的があると評価される場合は、同条の要件を欠くこととなり、法第30条の4の権利制限規定の適用を受けることができない。

生成AIに関していえば、享受目的が併存すると評価される場合について、具体的には以下のような場合が想定される。

〇学習データをそのまま出力させることを目的としたファインチューニングを行うための著作物の複製等

〇学習データの影響を強く受けた生成物が出力されるようなファインチューニングを行うための著作物の複製等

〇AI学習のために用いた学習データを出力させる意図は有していないが、既存のデータベースやWeb上に掲載されたデータの全部又は一部を、生成AIを用いて出力させることを目的として著作物の内容をベクトルに変換したデータベースを作成する等の著作物の複製等

法第30条の4は、生成AI以外のAI(認識、識別、人の判断支援等を行うAI)を開発する学習のための著作物の利用、技術開発・実用化試験のための著作物の利用、プログラムのリバース・エンジニアリング等の行為も対象となる。

まとめ

 著作権法第30条の4は、技術革新に伴う著作物の新たな利用態様に柔軟に対応できる権利制限規定として設けられた。立法時において、AIの学習についてはインターネットの検索サービスなどを念頭に置いていたと考えられる。しかしながら、近時の生成AIの技術の進展は凄まじく、事業者にとどまらず一般市民にも広く普及しつつあり、同条の解釈と適用範囲について、問題となる場面が増加している。そのため、生成AIを想定したルールの策定、適用範囲の再整理が求められている。

 今般、文化庁が公表した素案によれば、生成AIに著作物を学習させる場合でも、著作物の一部を出力させる目的がある場合などには、権利者の許諾が必要となるという方向性が示された。

文化庁のスケジュールによると、2024年1月中にパブリックコメントを実施、同年3月には、文化審議会著作権分科会において報告がなされる予定である。当所ニュースレターでも、続報をお届けする予定である。

参考URL:https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/hoseido/r05_05/