日付:2026-06-11
公開日付:2026-06-11
2026年6月8日、欧州連合知的財産庁(EUIPO)は、生成AI(GenAI)ツールの責任ある利用に関する庁内指針を改訂し、安全性・透明性・法令遵守の強化を図ると発表した。
背景
EUIPOは2023年に職員向けの生成AI利用指針を策定していたが、EU人工知能法(EU AI Act)の施行および欧州委員会によるAIの責任ある利用に関するガイダンスの公表を受け、EUの最新の規制枠組みとの整合を図るため改訂が必要となっていた。
主な内容
今回の改訂は、EUIPOのジョアン・ネグラン(João Negrão)長官名義の通達第1/2026号(Communication No 1/2026)として発出され、2023年版指針に代わるものである。新たな枠組みは、人による監督、データ保護および法令遵守を維持しつつ、庁内業務における生成AIツールの安全かつ透明な利用方法を定めている。
改訂指針では、プロンプト作成および情報の取扱いに関する明確なルールを導入し、情報を公開・制限付き・機密・極秘の4区分に分けて取り扱うこととした。特に、個人データの保護、AI生成物の検証、全段階における人による監督の必要性が重視されている。
また、職員はAIツールで生成したあらゆるコンテンツについて全面的な責任を負うとし、AIの出力は、利用・配布の前に、事実の正確性、バイアス、ハルシネーション(幻覚)および著作権上の問題について必ず批判的に検証しなければならないと明記された。さらに、庁全体のAI戦略・スキル向上施策の一環として、2025年に導入された必修研修「AI運転免許(AI Driving Licence)」は、新規採用職員に引き続き適用される。
実務への影響
本指針はEUIPOの内部規範であるが、EU AI Actの枠組みの下でEU機関が採用する生成AIガバナンスの最新水準を示すものであり、出願人や代理人が自社のAIコンプライアンス体制を整備し、EU当局のAI生成資料への姿勢を予測する上で参考になる。
出典:欧州連合知的財産庁(EUIPO)(原文)