製品全体のデザインが完全には公開されていない先行意匠の特徴を組み合わせ対比に用いることができる条件——(2024)最高法知行终518号

日付:2026-07-08

出所:中国最高人民法院知的財産法廷

作者:徐飞 李明杰

分野:特许


国/地域:中国

公開日付:2026-07-08

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このほど、中国最高人民法院知的財産法廷は、意匠特許(中国の外観設計専利)権の無効をめぐる紛争事件について終審判決を言い渡し、意匠特許と先行意匠の特徴の組み合わせとの間に明らかな相違があるか否かを判断する際には、組み合わせに用いられる意匠の特徴に対応する製品の全体デザインが完全に公開されていることは要求されないことを明確にした。一般消費者が、先行意匠の既に公開された内容に基づいて、組み合わせに用いられる具体的な意匠の特徴に対応する製品、および当該意匠の特徴の製品全体における相対的な位置関係を確定できる場合、当該具体的な意匠の特徴は組み合わせ対比に用いることができる。

本件は、名称を「道路交通信号灯」とする意匠特許(以下「本件特許」という。図面は原文リンク参照)に関するものであり、特許権者は四川科某実業有限責任公司(以下「科某公司」という)である。四川華某智能交通科技股份有限公司(以下「華某公司」という)は、本件特許について中国国家知識産権局に無効宣告請求を行い、その主な理由は、本件特許が証拠1(図面参照)と証拠5(公証を経たWeChatモーメンツ(微信朋友圏)の画像、図面参照)との組み合わせとの対比において、専利法第23条第2項の規定に適合しないというものであった。被訴決定は、証拠5の3枚の画像が同一の製品を対象としていると確定することはできず、かつ3枚の画像は製品の全体的な外観デザインを明確かつ完全に示していないため、組み合わせ対比の基礎とすることはできないとして、本件特許権を有効に維持する決定をした。華某公司はこれを不服として、一審裁判所に行政訴訟を提起した。一審裁判所は審理の結果、証拠5は組み合わせ対比に用いることができると判断し、被訴決定を取り消し、国家知識産権局が改めて決定を行うよう命じる判決をした。科某公司はこれを不服として上訴した。

最高人民法院は二審において以下のとおり判断した。第一に、アクセスに許可を要するモーメンツなどのネット空間で発信された内容が先行意匠を構成するか否かについては、WeChatモーメンツの情報発信の仕組み、発信者の具体的状況、情報の具体的内容、当該発信者のWeChatモーメンツの主な用途などの要素を総合的に考慮して判断すべきである。無効宣告請求人が、当該WeChatモーメンツが主として商業目的で用いられていることを立証した場合、当該WeChatモーメンツの内容は不特定の公衆が入手できる状態にあったと一応推定することができるが、特許権者が、当該WeChatモーメンツの内容が公開されていないこと、または公開先の特定の者との間で守秘義務が約定されていることを証明する証拠を有する場合はこの限りでない。本件の証拠によれば、係争のWeChatモーメンツには、科某公司や交通信号灯に関する紹介文および宣伝文句を伴う信号灯の画像が複数投稿されており、「科某実業」の動画や公式アカウントの記事も何度も転載されていた。これにより、係争のWeChatアカウントの所有者には、当該モーメンツの内容を公衆に公開し商業宣伝を行う主観的意図があったと推定することができ、かつ当該WeChatアカウントは科某公司と密接に関連している。科某公司は、対比意匠を含むモーメンツの情報は本件特許の先行意匠を構成しないと主張したが、その主張の成立を証明するに足る反駁証拠を提出しなかった。したがって、証拠5のWeChatモーメンツに係る画像は、本件特許の出願日前に公開されていたものである。

第二に、一つの先行意匠証拠において公開された複数の画像が同一の製品を対象としているか否かについては、本件証拠に反映された全ての情報に基づき、当事者の立証能力も併せて総合的に判断すべきである。無効宣告請求人が提出した証拠に示された情報が相互に裏付け合っており、反証を提出する能力を有する当事者が反駁するに足る証拠を提出できない場合、人民法院は複数の画像が同一の製品を対象としていると認定することができる。本件において、証拠5に示された3枚の画像はいずれも「SolidWorksソフトウェア」内のものであり、ソフトウェア左側のナビゲーションウィンドウの上部にはいずれも同一の名称「300-xinhaodeng-2016」が表示され、3枚の画像のナビゲーションウィンドウにおける位置も同一であった。「SolidWorksソフトウェア」の機能および性質を併せて考慮すれば、反対の証拠がない状況においては、証拠5の3枚の画像が同一製品の外観デザインに関するものであると認定することができる。

第三に、意匠特許と先行意匠の特徴の組み合わせとの間に明らかな相違があるか否かを判断する際には、組み合わせに用いられる意匠の特徴に対応する製品の全体デザインが完全に公開されていることが必ずしも要求されるわけではない。一般消費者が、既に公開された内容に基づいて、組み合わせに用いられる具体的な意匠の特徴に対応する製品、および当該意匠の特徴の全体デザインにおける相対的な位置関係を確定できる場合、当該意匠の特徴は組み合わせ対比に用いることができる。本件において、証拠5は係争信号灯の全体的な外観デザインを完全には公開していないものの、華某公司が組み合わせに用いると主張した意匠の特徴は、証拠5に係る信号灯の外周装飾縁であり、証拠5に係る3枚の画像、とりわけ1枚目の画像から、係争製品が交通信号灯であることが明確に見て取れる。証拠5に係るWeChatモーメンツに投稿された交通信号灯に関する複数の内容も、3枚の画像に係る製品が交通信号灯であることを裏付けている。3枚の画像に記録された内容によれば、一般消費者はその知識水準と認知能力に基づき、証拠5における組み合わせに用いられる外周装飾縁の信号灯全体における位置を知ることができる。しかも、組み合わせに用いられる外周装飾縁は相対的に独立した視覚効果を有する。したがって、証拠5における外周装飾縁は組み合わせ対比に用いることができる。以上により、上訴を棄却し、原判決を維持する判決を言い渡した。

本件は、モーメンツで発信された情報が先行意匠を構成するか否かの判断基準、および組み合わせ対比に用いることができる先行意匠の特徴の認定を明確にしたものであり、同種の事件にとって参考価値を有する。

図面:本件特許、証拠1、証拠5(原文リンク参照)

本記事は中国語の原文を元に日本語へ翻訳(仮訳)されたものです。

出典:中国最高人民法院知的財産法廷、原文公表日:2026-07-03、原文リンク:https://ipc.court.gov.cn/zh-cn/news/view-5879.html