日付:2026-08-07
公開日付:2026-08-07
——(2024)最高法知民終1193号
最高人民法院知的財産法廷は、発明特許権侵害紛争事件を審結し、被疑侵害者が合法的な経路により第三者から特許製品を購入した後、当該特許製品の商標を自社の商標に貼り替え、自主研究開発・自社製造と対外的に称して販売した行為について、合法的に売り出された特許製品の技術方案に実質的な変更を加えておらず、本件特許技術方案を実施又は再現する過程が存在しない以上、特許法上の製造行為には該当せず、特許権の消尽の適用場面に該当し、特許権侵害を構成しないと認定した。当該行為が商標権を侵害するか否かは、商標法に基づいて分析・判断すべきである。よって、原判決を取り消し、特許権者側の請求をすべて棄却する旨の変更判決を下した。
本件は、「新型コロナウイルスに対する抗体、新型コロナウイルス検出試薬及び試薬キット」と称する発明特許(以下「本件特許」という)に関するものであり、本件特許の請求項2、6、7は「新型コロナウイルス又はそのNタンパク質に対する抗体又はその機能性断片」を保護しており、当該抗体は新型コロナウイルス又はそのNタンパク質を検出する試薬又は試薬キットを生産するための重要な原料である。菲某有限公司(以下「菲社」という)は本件特許権の独占実施被許諾者であり、杭州華某有限公司(以下「華社」という)が許諾を得ずに、生産経営目的で「M9062型2019-CoV NP antibody」(以下「被疑侵害製品」という)を製造、販売、販売の申出をした行為が本件特許権を侵害し、かつ侵害の規模及び利益が莫大であると主張して提訴し、華社に対する侵害停止並びに経済的損失及び合理的支出3,024万元の賠償等を命じるよう請求した。華社は、被疑侵害製品は訴外者を通じて菲社から購入した特許製品COV19-PS-MAb1の正規品を、華社の商標に貼り替え、改名した上で再度対外販売したものであり、特許権の消尽に該当し、特許権侵害を構成しないと抗弁した。
裁判所の審理により、菲社が公証のうえ購入した被疑侵害製品にはいずれも華社の商標が付されており、華社は自社の公式サイトで被疑侵害製品を自社が研究開発・製造したものであると称していたことが判明した。一件記録上の証拠によれば、華社が対外販売した被疑侵害製品はいずれも第三者を通じて菲社から購入したものであり、華社の対外販売数量は第三者からの購入数量を下回っていた。第三者検査機関が発行した「モノクローナル抗体De novoシーケンシング分析」によれば、被疑侵害製品の配列は本件特許の請求項2における変異組合せ58と軽鎖・重鎖のカバー率がいずれも100%であった。
一審裁判所は、華社が公式サイトで被疑侵害製品を自主研究開発と称し、商品に自社の商標を付し、営業許可証記載の経営範囲に生物試薬加工が含まれるなど、対外的に自らが製造者であるとの意思表示をした事実を総合すると、被疑行為は製造行為に該当し、特許権侵害とみなさない場合には当たらないと判断した。よって華社に侵害停止並びに経済的損失6万元及び合理的支出14万元の賠償を命じた。華社はこれを不服として控訴した。
最高人民法院は審理の結果、華社の特許権消尽の抗弁は成立し、被疑行為は本件特許権の侵害を構成しないと判断した。主な理由は以下のとおりである。第一に、特許法の関連規定によれば、特許権者又は特許権者の許諾を得た主体が特許製品を売り出した後、被疑侵害者による当該特許製品のその後の使用、販売の申出、販売、輸入行為は特許権侵害とみなされない。被疑侵害者が合法的に売り出された特許製品を直接又は簡単な小分け後にラベルを貼り替えて再販売したとしても、ラベルの貼替えや自主開発製品と対外的に称した行為のみを根拠として、被疑侵害者が特許法第11条に規定する製造行為を実施したと認定すべきではない。第二に、本件被疑侵害製品は本件特許の独占実施被許諾者である菲社に由来し、華社が特許製品COV19-PS-MAb1を取得した経路は合法であり、合理的な対価を支払い、菲社は既に合理的な対価を得ており、かつ、証拠によれば華社の被疑侵害製品の販売数量は購入数量を超えていない。第三に、華社が被疑侵害製品について実施した行為は再販売行為であって製造行為ではなく、特許法の権利消尽規定の適用要件に適合する。華社が対外販売する試薬の外装に自社の商標を付したとはいえ、本件特許技術方案は華社が菲社の特許製品を取得した時点で既に当該製品に体現されており、華社の上記行為は本件特許技術方案を改めて実施・再現したものではない。したがって、華社の被疑行為は特許法第11条に規定する製造行為を構成せず、再販売にとどまり、特許法第75条第1号に規定する特許権侵害とみなさない場合に該当する。華社の商標貼替行為が菲社のその他の民事権利を侵害するか否かは本件の審理範囲に属さず、当事者は別途法により権利を主張することができる。
本件は、発明特許権侵害紛争の審理において、被疑侵害者が合法的に購入した特許製品への「ラベル付け」「ラベル貼替え」「自主研究開発・自社製造との宣伝」等の行為を一律に特許法第11条の製造行為と認定すべきではなく、具体的な事案に即して、被疑侵害者による特許製品の処分が本件特許技術方案を改めて実施又は再現したか否かを審査すべきであることを明確にした。当該行為が商標権を侵害するか否かは、商標法に基づいて分析・判断すべきである。
出典:最高人民法院知的財産法廷 作者:杜国順 舒金曦 原文日付:2026年8月1日 原文リンク:https://ipc.court.gov.cn/zh-cn/news/view-5976.html
本記事は中国語の原文を元に日本語へ翻訳(仮訳)されたものです。